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e-sports選手が日本で「アスリートビザ」を取得するには?

e-sports選手が日本で「アスリートビザ」を取得するには?

リーグ・オブ・レジェンド(LoL)の国内競技シーンにおいて最近よく話題になる”プロアスリートビザ”(正式名称:興行ビザ基準省令3号)。今年3月末にDetonatioN FocusMe(以下DFM)の選手たちが取得したことを皮切りに、6月現在ではUnsold Stuff Gamingや7th heavenも同様にビザの取得に成功している。

このニュースを聞いて、ビザのことに詳しくなかった筆者はいくつか疑問を持った。

例えば、同ビザの取得がアナウンスされるより以前の国内競技シーンでも外国籍選手は出場していたため、「ワーキングホリデー等のビザでも大会の出場は可能ではないのか」といった疑問や、「わざわざアスリートビザを取得することにメリットはあるのか」等の疑問だ。

今回の記事では、アスリートビザの概要と必要性、取得方法を述べる。

※実際に取得してみたわけではなく、あくまで紹介です。また筆者はビザに詳しいわけでもなく、この記事に書かれている事は全て自己研究の域を出ません。また、在留資格とビザは別物ですが、混乱を避けるため、本記事では同一のものとして扱います。

なぜビザが必要か

話の前提として、なぜ外国籍選手たちがビザを必要としているかについて説明する。

ライアットゲームズが開いている大会で、国内でメインとなっているLJLでは、ルール上参加選手全員に日本国内での就労資格が求められている。

任意の LJL 関連の対戦にコーチやプレイヤーが参加を希望する場合、各 コーチとプレイヤーは、(中略)就労許可を持っていることを証明する、各証拠をアクティブロースター登録の際に、共に提出する必要があります。

LJL公式ルール 1.4 就労資格 より引用

このルールが制定されているのは、LJLに出場することで選手たちに報酬が発生するからだ。LJLのルールでは”チームは所属する選手たちに対して、最低限の報酬を分配すること”が義務づけられている。

各チームは、適用されるチーム参加契約書の条項に従い、スターターであるプレイヤーに対し、必要な最低プレイヤー報酬を分配する必要があります。

LJL公式ルール 2.2 プレイヤー報酬 より引用

 

どの国でもそうだが、海外からやってくる外国人には基本的に労働許可が下りていない。日本で労働許可を得るには”適切な在留資格“を発行して国からビザを得る必要がある。

プロアスリートビザ(興行ビザ基準省令3号)とは

では、e-sports選手にとって、適切な在留資格とはなんだろうか。

ビザには27種類もあるが、当事者が”演劇,演芸,歌謡,舞踊又は演奏の興行以外の興行(スポーツなど)に係る活動”に関わる場合、「興行ビザ基準省令3号(以下アスリートビザ)」というビザが必要となる。

”e-sports”という言葉がほとんど浸透していない日本において議論の的になるであろう点だが、e-sports選手の活動が「スポーツ選手が報酬をもらうことを条件に、日本国内で活動することと同じ」といえるものであれば、まさにこのアスリートビザが適切だろう。

アスリートビザのメリット

DFMがアスリートビザの取得を発表する以前のLJLでは、外国籍選手はどのように労働許可を得ていたのだろうか。そもそも今まで外国籍選手がアスリートビザ無しで問題なく活動できていたなら、わざわざアスリートビザを発行する必要はない。

このことについて、DFMのアスリートビザの発表時に以下のようなスライドが公開された。

JpeF_Press_files

「日本プロeスポーツ連盟」設立発表会にて公表されたスライド。日本で就労可能なビザとして、学生ビザやワーキングホリデービザなどが記述されている。

上の画像を参考にすると、アスリートビザ以外にも就労が許可されてる在留資格はいくつかあり(例:ワーキングホリデービザ、留学ビザ + 資格外活動許可など)、それらを利用して活動していた可能性が高い。

しかしどの手段にも問題を抱えていたようで、例えば「留学ビザ+資格外活動許可」では”一週間で28時間以内、学校が定める長期休業期間(夏休み期間中等)では1日8時間以内”と、かなり活動時間が制限される。そもそも留学ビザを発行すること自体も大変だろう。

実はLoLで活動するe-sports選手にとって、こういった問題は以前から存在したようだ。

コチラの情報によると、現在北米のプロチームTSMで活動しているBjergsen選手はデンマーク出身だが、TSMに移籍した当初は米国のアスリートビザであるP-1ビザを所有していなかった(その期間もLCSに出場していたが、どういう手続きをとっていたのかは不明)。それから何ヶ月かした後にP-1ビザを取得し、現在も活動しているようだ。

外国人選手を日本のチームへ招へいするまでの流れ

それでは実際にどのように外国人選手を日本のチームへ招へいするのだろうか。アスリートビザ以外の在留資格でも、基本的には以下の順序で進めていく。

就労・長期滞在査証(ビザ)手続きチャート ※法務省公式HPより引用

 

上図をe-sportsのケースに当てはめると以下のようになる。

  1. 外国人選手はアスリートビザ申請に必要な書類(パスポート、査証申請書、写真、その他必要書類 ※1)を用意し、日本のゲーミングチームは『在留資格認定証明書』の交付を申請する。
  2. 『在留資格認定証明書』が交付されたのち、外国人選手に送付する。
  3. 外国籍選手は最寄りの日本大使館で、必要な書類をもって審査を受ける。
  4. 審査が通過したのち、日本へ入国。

※1・・・選手の国籍により必要な書類が違います。詳しくは各国の領事館のサイトをご覧ください。

在留資格認定証明書とは

上の画像を見ると、ゲーミングチームが用意するものとして『在留資格認定証明書』というものがある。

これがまさしく、入国管理局が該当の外国籍選手に対して「報酬が発生する日本でのスポーツ活動を認めます。」と証明してくれるものだ。

この証明書の交付にあたり、具体的に求められる書類は以下のものである(法務省公式HPから引用)。

1.証明書の作成時に必要なもの

  • 在留資格認定証明書交付申請書
  • 写真
  • 返信用封筒

2.外国籍選手の経歴書及び活動に係る経歴を証する文書

3.招へい機関(日本のゲーミングチーム)の概要を明らかにする資料

  • 登記事項証明書
  • 間近の決算書(損益計算書、貸借対照表)などの写し
  • 従業員名簿

4.興行を行う施設の概要を明らかにする資料

  • 営業許可書の写し
  • 施設の図面
  • 施設の写真
  • 授業員名簿
  • 登記事項証明書
  • 間近の決算書(損益計算書、貸借対照表)などの写し

5.次のいずれかで、外国籍選手の日本での具体的な活動の内容、期間、地位及び報酬を証する文書

  • 雇用契約書の写し
  • 出演承諾書の写し
  • 上記に準ずる文書

6.滞在日程表・興行日程表・興行内容を知らせる広告やチラシ等

一見すると難しく感じるが、結局のところ問われることは以下の4点である。

  1. LoLというゲームについて
  2. 該当の外国籍選手について
  3. 受け入れ先の日本のゲーミングチームについて
  4. 外国籍選手とゲーミングチームの今後の予定について

小難しく書かれているが、入手が困難なものはない。

3.の「招へい機関(ゲーミングチーム)の概要を明らかにする資料」や5.の報酬関連の契約書は、ライアットゲームズの公式大会であるLJLやLJLCS(2部リーグ)に出場するチームは法人化が義務づけられており、チームの法人化の際にすでに作成している。

だがしかし、4.の「興行を行う施設の概要を明らかにする資料」に関してはどうだろうか。「興行(LoL)を行う施設」と言われてもLoLはオンラインゲームなため、営業許可書や施設の図面なんてありはしない。

このことについて入国管理局の方にお聞きしたところ、「オフライン大会が開かれる会場の資料やゲーミングハウスの資料等、選手やチームが関わる施設の資料を用意していただければ大丈夫です。」とのこと。

選手やチーム、LoLの実態をできるだけ明らかにし、説明することが必要ということらしい。

「我々が行っていることはスポーツと呼べるものです」

必要最低限の書類を用意することは簡単だが、一番の問題点は提出した書類をもとに入国管理局の方が「これはスポーツと呼べるものだ」と判断を下し、交付の印を押してくれるかどうかだろう。

普段からLoLの競技シーンを追っている筆者からしてみれば(一風変わってはいるが)一般的なスポーツとなんら遜色ないように思うが、やはり「ゲームをスポーツと呼んでいいものか」という考えが念頭に置かれやすい。事実、遊びとスポーツの境界線は非常に曖昧だ。

外国人選手を起用している日本のゲーミングチーム”Rascal Jester”のマネージャー・大川氏にビザ取得について取材したところ、「選手が日本のチームに来る理由や、招へいするチームはしっかりとしたものなのか、など書類で用意する必要があります。多くの場合、専門家ではなく単独では難しいと思うので、行政書士と連携を取り進めていくことになると思います。」とお答えいただいた。やはり申請時に入国管理局の理解を得られるかどうかが鍵となるようだ。

在留資格認定証明書が交付されたら、アスリートビザの取得は目前だ。あとは選手が自国の日本大使館に行き、結果を待つだけだ。

まとめ

本記事ではアスリートビザの必要性とその取得方法について簡単に述べた。e-sports選手が国内で不自由無く活動するためには、やはりアスリートビザの取得が最も適切だと言える。

以前の日本では、アスリートビザの取得は相当難問だっただろう。”e-sports”という言葉が浸透していない日本国内において、LoLでの活動をスポーツと捉える人は少なかったからだ。

しかしDFMが初めて実例を示したことで、以前に比べれば取得しやすくなったのは間違いない。最近ではUnsold Stuff Gamingや7th heavenでも同種のビザを取得したとの発表があった。今後も同様のビザを取得し、日本の競技シーンで活躍する外国人選手が増えるだろう。

解消されつつあるビザ問題。今後のLoLのゆくえは・・・?

アスリートビザのおかげでビザにまつわる問題点はかなり解消されたが、LoLに関わる問題はまだまだ存在する。

国内のゲームの大会において高額な賞金が出せないことや、プロとして活動していた人達のセカンドキャリア、そもそもLoLが日本でヒットするのかどうかも疑問の余地が残る。

筆者は今後もLoLに関わる問題を記事にしていく予定だ。是非ともこういった問題を多くの人に知ってもらい、様々な意見を持っていただきたい。

関連リンク

※一部、誤字を修正いたしました(6/3 14:45)

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ARAM勢。LoLのRedditを漁っては翻訳しています。国語力が低いため文章に多々おかしなところがございますのでご注意ください。
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